第70期 第3号 航海実習(呉~名古屋)

2024年2月9日

日時

 令和6年1月20日(土)~1月27日(土)

場所

呉~名古屋

天候  ー

4学年乗船実習の目玉の一つである、約2週間で東京、名古屋、神戸に寄港する航海実習(通称「三都巡り」)が始まりました。呉―東京―名古屋の航程では、海上交通安全法適用海域である浦賀水道航路や中ノ瀬航路、伊良湖水道航路の通航があり、それらを通して実習生は船務や操船の技術を身に付けていきます。深夜航海や訓練を反復する実習は大変ですが、寄港地における休養日もモチベーションの1つにしながら実習に励んでいます。

実習生のコメント

船を運航する上で最も重要な要素は見張りです。周囲にいる他船をいち早く見つけ、自船と危険な関係にならないよう操船しなければならないため、ワッチ中はメンバー全員で協力し、あらゆる手段を用いて見張りを行います。見張りでは、目視はもちろんのこと、レーダーも有効な手段の一つであり、適切に用いることで、相手船の進路や速力のみならず最接近する時間や距離などの情報を得ることができます。実習当初はなかなか使いこなすことができませんでしたが、三都巡りも半分が終了し、レーダーの扱い方に慣熟することができました。これからは、さらにレベルアップした見張りが行えるよう実習に取り組みます。

(航海科 大久保 璃子)

レーダーを用いて見張りを行う航海科実習生
レーダーを用いて見張りを行う航海科実習生

入港の際には、船を係止するための係留索を前後部から出す必要があります。今回、私は前部指揮者として作業員に指示を出して、入港作業を実施しました。指揮者は作業を円滑に進めるだけでなく、作業員の安全も管理します。そのためには、作業員に対し的確な指示を出し作業を進めつつも、一人一人の行動を細部まで監督しなければなりません。実際に経験してみて、指揮者は作業内容の根拠まで理解し、自分に余裕をもたせることが大切であると感じました。約1年後には、私たちは巡視船に主任の士として配属され、そこには誤りを指摘する教官はいなくなります。そのため、本実習を通して、実習生各々が単独でも指揮できるよう成長していきたいと思います。

(航海科 甘庶 克樹)

指揮者として指示を出す実習生
指揮者として指示を出す実習生

私たちは三都巡りの最初の寄港地である東京港に入港しました。東京湾は1日あたり500隻以上の船舶が航行する世界有数の海上交通の要衝となっており、東京湾で船舶を航行させることは容易ではありません。この東京湾を安全に航行するための制度として入域通報があり、私は東京湾にて入域通報を行いました。入域通報とは、東京湾に入域する際に東京湾海上交通センターに対し自船の位置や目的地などの情報を提供し、東京湾を航行する船舶の動静を把握する仕組みのことで、当庁の主要な業務の1つである「海上交通の安全確保」の一端を担っています。私は東京湾で航海当直に入り、東京湾における船舶運航の難しさを知るとともに、現場で活躍する管制官の仕事に触れ、当庁の業務についてさらに理解を深めることができました。

(航海科 平田 峻也)

東京湾海上交通センターと通信を行う航海科実習生
東京湾海上交通センターと通信を行う航海科実習生

私は、伊良湖水道航路通航時、操舵を担当しました。伊良湖水道航路は、海上交通安全法に定められた航路の一つで、航路幅が1200メートルと他の航路と比べ非常に狭く、完全な分離通航ができないことが特徴です。大学校の授業で学んだ航路を実際に通航し、操舵を担当することで伊良湖水道航路の特徴を肌で感じることができました。また、航路内において大型の自動車運搬船と行き会った際には、相手船との距離が想定していたよりも近く感じ、より一層気が引き締まりました。このような航海実習で得られた知識や経験は、これからの現場での仕事に不可欠なものだと思います。本実習では、さらに多くの知識技術を身につけていきます。

(航海科 横山 悠人)

伊良湖水道航路において操舵を行う航海科実習生
伊良湖水道航路において操舵を行う航海科実習生

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