第69期 第17号 シンガポール入港

2023年7月31日

日時

 令和5年7月14日(金)~7月19日(水)

場所

シンガポール

天候  ー

スエズ運河を通航し、世界有数の輻輳海域であるマラッカ・シンガポール海峡を経て、4つ目の寄港地であるシンガポールに入港しました。シンガポールは、今回の遠洋航海で最も緯度の低い熱帯地域の寄港地であり、入港時にはスコールに見舞われる等、熱帯地域特有の気候を肌で感じることができました。今回のこじまだよりでは、マラッカ・シンガポール海峡通航、シンガポールでの施設見学等について紹介します。

マラッカ・シンガポール海峡を通航した実習生のコメント

私は今回、マラッカ・シンガポール海峡の通航の際、操舵室のリーダーである副直として操船を行いました。この海峡は分離通航方式といい、特に船舶の交通量が多い海域に設けられる通航の方式で、反対方向に航行する船舶の交通の流れの間に、分離する線や海域を設け、通航を分離し、衝突するリスクを減らしています。操船してみると、この通航方式の必要性を十分に感じるほど多数のコンテナ船や貨物船が通航しており、この海峡はインド洋と南シナ海を結ぶ重要なルートであることを体感しました。また、海峡のすぐ外側には小さな島々が数多く存在し、限られた航路内しか通航することができない等、分離通航方式を採用する航路の中でも特に細心の注意を払う必要があり、船舶交通の難所であることを体感しました。遠洋航海だからこそ得ることができた今回の貴重な経験を忘れず、今後の業務に活かしていきたいと思います。

(航海科 掛水 新大 実習生)

マラッカ・シンガポール海峡を通航中の「こじま」
マラッカ・シンガポール海峡を通航中の「こじま」

PCGの施設を見学した実習生のコメント

シンガポール停泊中に、私たちはシンガポールの海上法執行機関であるPCG (Police Coast Guard) の施設見学に行きました。PCGはシンガポール領海内の治安の維持、海賊・武装強盗対策、不法密入国対策等を行う組織であり、多岐に渡る業務を行う海上保安庁に比べ、警備業務に特化した組織です。その組織上の特性から、PCGの訓練施設は、射撃訓練場やコンテナ船を模した訓練施設、自身の船艇が転覆したときに脱出するための訓練を行う施設、船体動揺等も発生する小型巡視船艇のシミュレーション施設など、より実践的な訓練を実施できる施設でした。また、業務見学の中で、PCGの組織や業務内容等、多くの事を説明して頂きました。その中で、シンガポールの領海は、周辺国の領海との関係上、日本と比べると狭くなっており、そのため小型で高速な巡視船艇が配備されているという説明を受け、国の置かれている状況によって、海上法執行機関に求められる能力や装備等に、違いが出てくるのだと感じました。また、PCGではドローンや無人機船等を積極的に活用しており、日本よりも最新技術を活用しているように感じました。外国の海上保安機関の見学は日本の海上保安庁とは違った海上法執行機関としての存在意義を学ぶことができ、非常に新鮮です。今後もこのような見学を通じて、自身の知識を深めると共に、外国の機関との違いや、共通点等を見つけ、国際感覚の涵養に努めていきたいと考えております。

(通信科 石羽 俊介 実習生)

PCGの操船シミュレーション前での集合写真
PCGの操船シミュレーション前での集合写真

MPAの施設を見学した研修生のコメント

私が遠洋航海の参加を希望した理由の一つでもあったMPA (Maritime and Port Authority of Singapore) の施設見学を行いました。MPAはシンガポールの海事港湾庁であり、沿岸部に13箇所の監視カメラ、11箇所のレーダーやAISを活用して年間9万隻以上の船舶が航行するマラッカ・シンガポール海峡におけるVTS業務 (Vessel Traffic Service:船舶通航支援等業務) や港内における船舶通航管理を任務としています。マラッカ・シンガポール海峡の9つの区域の内、3つの区域をシンガポールのMPAが担当しており、日本の海上交通センターと同様に国際航路標識協会のライセンスを取得している管制官が勤務しています。施設見学では各区域を管制官がモニター及びVHFを利用して管制し、班長が区域全体を監視している様子を見ることができました。私は将来、管制官勤務経験を活かしてVTSが十分でないアジア地域の輻輳海域における航行安全業務に携わりたいと考えております。今回の施設見学や遠洋航海で得られた知識や経験を糧にして業務を行っていきたいと思います。

(国際航海実習課程 内山 舞 研修生)

MPAの管制用モニター前での集合写真
MPAの管制用モニター前での集合写真

休養日を満喫した実習生のコメント

シンガポールは多民族国家であり、市内にはインド、アラブ、中国の異文化を持つ街が点在し、シンガポールに居ながら、各国の雰囲気や食文化、芸能文化に触れることができました。また、太陽が沈み、辺りが暗くなるとマーライオンとマリーナベイ・サンズホテルが美しくライトアップされ、ヨーロッパ・アジア間の貿易のハブ港として栄えたシンガポールの優雅さを感じました。その他にもセントーサ島は、アジア最大級のリゾート施設で、テーマパークや水族館、プールがあり、長い航海実習での疲れをリフレッシュすることができました。次のマニラが最後の寄港地となり、遠洋航海も終盤となりますが、気を抜かず、立派に成長した姿で日本へ帰られるよう残りの実習も全力で取り組みたいと思います。

(機関科 小﨑 裕斗 実習生)

 

シンガポール観光の様子
シンガポール観光の様子

PAGE TOP