第69期 第16号 スエズ運河通航、自主研究発表会

2023年7月26日

日時

 令和5年6月28日(水)~7月3日(月)

場所

スエズ運河、紅海

天候  ー

私たちは、次の寄港地であるシンガポールへ向けて、6月24日にギリシャのピレウス港を出港し、海上輸送の要衡であるスエズ運河及び紅海を通航しました。実習生はスエズ運河において、エジプトの砂漠を横目に、幅およそ100mの狭い運河を通航し、貴重な経験をすることができました。また、紅海航行中には、実習生がこの遠洋航海で自主的に研究、調査を行った内容について発表しました。今回のこじまだよりではスエズ運河通航、実習生の自主研究発表会について紹介します。

スエズ運河を操船した実習生のコメント

今回、私は船を操縦する立場である副直としてスエズ運河の一部を航行しました。スエズ運河を知り尽くした水先人の操船を間近で見ることができ、とても貴重な経験になりました。
また、運河の途中では日本のODAによって建設した「 MUBARAK PEACE BRIDGE 」の真下を航過しました。橋の中央部には、日本とエジプトの国旗が飾られており、日本から遠いエジプトの地でも日本の国際協力が行われていることを直に感じました。私自身、将来、海上保安官としてエジプトに架けられた橋のように他国との架け橋となり、少しでも日本の国際協力に貢献できるように日々の業務に努めていきたいと思います。

(航海科 工藤 祐嗣)

スエズ運河を操船する実習生
スエズ運河を操船する実習生

遠洋航海も本初子午線を通過してギリシャに寄港し、残り半分を切りました。そんな中、6月18日早朝から、私が本航海中の楽しみの1つであったスエズ運河を航行しました。事前に船内でスエズ運河について知る機会があったため、中東戦争のメモリアル記念碑近くを通過したときは、スエズ運河の歴史を肌で感じることができました。また、スエズ運河は日本の業者が掘削に携わっていることを知り、先人たちの苦労や努力に思いを馳せるとともに、練習船こじまより数倍の大きさの船が本船の左舷側を何隻も通過していくのを見て、ヨーロッパとアジアをつなぐ重要な運河であることを再認識しました。遠洋航海も残り1か月程度となり徐々に日本に近づいてきましたが、残り少ない遠洋航海での学びを、乾いたスポンジの如くたくさん吸収して、引き続き国際感覚の涵養に努めて参ります。

(国際航海実習課程 竹下 暢人)

スエズ運河の水先人と実習生
スエズ運河の水先人と実習生

自主研究発表会を終えた実習生のコメント

私は「世界各地の気候の特徴と結果」というテーマの下、教科書や論文に記載されている世界各地の気象海象の特徴と、実際に観測した気象海象をまとめました。遠洋航海は世界一周の航海を通じて、様々な地域を航行していく貴重な機会ですので、このテーマを設定しました。調査をしていく中で、日本近海では観測できない赤道収束帯(ITCZ)と呼ばれる気象現象が現れる海域を航行しました。ここでは雷や豪雨が多く、教科書に記載されていることを肌で感じ取りながら、学ぶことができました。各地域の気象海象の特徴を把握し、予測することは船舶の安全運航に繋がります。今回の研究を契機に今後も気象の知識の習得に努め、安全運航を行っていきたいと思います。

(航海科 山根 宥人)

私は今回の研究発表会を通して、短い時間で相手にわかりやすく伝えることの難しさを実感しました。発表者自身は、遠洋航海が始まる前から準備を行い、約2か月かけてテーマの調査、理解を進めていきます。しかし、発表会ではこの2か月を15分という短い時間にまとめる必要があり、そのためには見やすく要点を抑えたスライドや話し方など、様々な伝える工夫が必要だと感じました。また、各々の発表を見てみると、クジラの生息数について調査を行っている者や聞き手が分かりやすくレイアウトをしている者など、興味深くまた今後の参考になるような発表会でした。この貴重な経験を糧として、現場で役立てたいと思います。

(機関科 水町 匠)

自主研究発表会の様子
自主研究発表会の様子

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