第69期 第14号 転科実習

2023年6月30日

日時

 令和5年6月6日(火)~6月13日(火)

場所

大西洋上

天候  ー

2つ目の寄港地であるボルチモアを出港し、遠洋航海実習期間も残り半分に近づく中、転科実習が行われました。普段、実習生は航海・機関・通信の3つの科のうち、各自が専攻する科の実習のみを行っていますが、転科実習中は自分が専攻する科以外の実習を経験します。普段経験しない他の科の船務について学び、船の運航に係る全体的な視点を養うことや今までの各科実習で培ってきた知識を他科の実習生に教えることで自身の理解を深めることを目的としています。さらに、3つの科の実習に加え、主計科にも転科し、船内における調理や配膳等も経験します。

航海科実習を経験して

私は航海科実習において、目視やレーダーを使用しての見張り、気象観測、天測等、様々な実習を行いました。この経験を通して、航海科として船を操船する際にどのような情報が必要なのかを学ぶと同時に、事故を未然に防止するため、瞬時に判断しなくてはならない緊迫感を肌で感じることができました。

現場に赴任すると、乗った船によっては機関科の私でも船橋にて航海ワッチを行う場合もあります。今回得た知識・経験を活かして現場に赴任した際、積極的に見張りを行い、事故を未然に防止できるよう努めていきます。

(機関科 源田 駿助)

航海科実習において位置の記入を行う実習生の様子
航海科実習において位置の記入を行う実習生の様子

機関科実習を経験して

機関科の実習では機関科実習生から機関科の当直業務の内容について教わり、実際に発電機やボイラーの起動・停止を行いました。機関科は船を運航させる上で、動力源となる主機を運転するだけでなく、船内の電気を供給する発電機や、調理や洗濯・入浴のために必要な蒸気を供給するボイラー、冷蔵庫を冷やすための冷凍機、船内を快適な温度に保つ空調装置等、様々な機械を運転・管理しています。機関室内は海域や時期によっては室温が50度近くになることもあり、また、高温の機械や回転部品等の危険な箇所も多くあります。このような過酷な環境の中で、どれだけ海が荒れて船が揺れていても主機や補機(主機以外の機械)の運転や保守整備をしてくれていることにありがたさを感じました。

今後、転科実習で得た知識を基に、他科がどのような仕事をしているかを気にかけ、船全体として上手く仕事を進めるには航海科としてどうすればいいのかを考えながら日々の実習に取組みたいと思いました。

(航海科 今井 亮佑)

機関科実習において発電機の点検を行う実習生の様子
機関科実習において発電機の点検を行う実習生の様子

通信科実習を経験して

私は通信科の実習で、通信機器の操作や実施した通信の内容を記録するための無線業務日誌の記入、自船の航行に関する情報の収集や発信、遭難通信を受信したときの対応、海上保安庁が行う船舶の安全な航行を支援するための通信業務、海上保安庁の業務を支える独自の情報システムについて学びました。

また、実習中に実際に付近を航行していた船舶から突然呼び出され、無線電話での通信を経験しました。相手船とは英語で通信を行ったため、相手とのやりとりにとても苦労しましたが、他船から呼び出されたときの対応や通信を行う上での注意すべきことをしっかりと確認することができました。今後も転科実習で学んだことを忘れずに、現場での業務に活かしたいと思います。

(機関科 益田 悠斗)

通信科実習において気象情報を収集する実習生の様子
通信科実習において気象情報を収集する実習生の様子

主計科実習を経験して

私は主計科の実習で朝食と昼食の調理を行いました。実習に際し、昼食と夕食については主計科の乗組員の方全員で調理を行うという説明を受け、3時間交代で数人ずつワッチに入る航海科との勤務形態の違いに驚きました。

また、100名近くの乗組員・実習生全員分の食事を調理することはとても大変な作業でした。私は炊飯及び魚の揚げ物の調理を担当しましたが、大きな炊飯器で炊きあがった大量のお米を3つある食堂分に取り分ける作業は熱気との戦いでとても苦労しました。さらに、揚げ物の調理では、大量の魚を揚げる際、油が飛び、火傷を負いそうになりました。今まで私は時間通りに食事が出てくることをどこか当たり前のように感じていましたが、今回の主計科実習を経て、主計科の乗組員の方々はこれほど大変な思いをしながら、夜食を含め毎日4食ものおいしい食事を準備して下さっていることを改めて実感しました。

これからは今まで以上に毎日の食事に感謝しながら実習に励むと共に、現場に赴任した際もこの感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

(航海科 山田 達也)

主計科実習において調理を行う実習生の様子
主計科実習において調理を行う実習生の様子

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