第68期 第15号 シンガポール入港

2022年7月5日

日時

 令和4年7月3日(日)~7月5日(火)

場所  シンガポール
天候  ー

練習船こじまは7月3日に今年の遠洋航海で最後の寄港地となるシンガポールに入港しました。シンガポールにおける停泊は2泊3日と短い期間でした。しかし、そのような中でも船舶の管制を行う海事港湾庁や海上保安機関である警察沿岸警備隊 (PCG) の施設見学、海上保安庁からの出向者による業務講話を実施しました。

今回の寄港地では休養日はありませんでしたが、移動の際に乗ったバスの車窓から近代的なビル群や独創的な建造物、広大なコンテナヤードなどシンガポールの街並みを見ることができました。

航海実習も残り約2週間となりました。実習生一同、残りの遠洋航海で船での仕事を完璧にすると意気込んでいます。

実習生のコメント

船橋に上がりレーダーを見て、普段と違う船の数に驚いたところからワッチが始まりました。マラッカ・シンガポール海峡は、世界有数の輻輳海域と言われるだけあって周りは船だらけで、船橋には緊迫した空気が常に流れていました。狭い航路を抜けてシンガポールに入港したときには、緯度1桁の暑さと湿度で体が疲れましたが、日本と違う熱帯気候を肌で感じることができました。

入港後は、コロナにより制限された現状で、施設見学や業務講話を経験させていただき、非常に有意義な時間になりました。

残り何日と数えるのも大変だった専攻科航海実習も残り2週間を切り、終わりが見えてきました。残された航海で後悔しないように実習に取り組みたいと思います。

(航海科 西佑深)

こじまのレーダー画面の様子
こじまのレーダー画面の様子

シンガポールは歴史的に中継貿易地として発展してきた場所であり、幅数百メートルの海峡を非常にたくさんの船舶が航行します。私たちは、シンガポールが管轄する航路のうち約55%の海域の管制を行うPOCC (Port Operation Control Centre) Vistaを見学させていただきました。

POCCはカメラのほか、レーダー及びAIS(船舶の情報を自動で送受信する装置)の複合システムで航路を監視しています。このシステムは、針路及び速力から船舶同士の最接近距離を予測し、一定以下の距離である場合は衝突の危険があるとして、スクリーン上に黄色または赤色のアイコンで表示させるシステムです。日本にも同様のシステムがあり、シンガポール海峡の管制体制は、日本財団の支援もあって現在の形となっているそうです。

世界中の船舶が集い、行き交うシンガポールで、国際社会において日本の果たす役割の一端を感じた見学でした。この遠洋航海で身につけた国際感覚を基礎として、私たちも将来広い視野をもって国際業務に携われるよう努力を続けたいと思います。

(通信科 越智さゆり)

POCC職員の説明を受ける実習生
POCC職員の説明を受ける実習生

シンガポールに入港した私たちは7月4日シンガポール警察沿岸警備隊、通称PCGの施設を見学致しました。シンガポールは狭い海域を挟んでマレーシアやインドネシアに面しており、その対岸までの距離は最も狭いところで500m程しかありません。それ故に国境を守ることを任務とするPCGの責任は重大です。PCGでは、操縦性能の優れた巡視艇やあらゆる想定に対応した訓練を実施することができるシミュレーター等最新鋭の設備を活用して、日々訓練、業務に取り組んでいるとのことでした。

今回私たちと同年代のPCG隊員にお会いすることができました。彼等は既に現場の第一線で活躍されており、間もなく現場に出る身としてその姿に刺激を受け、残り僅かの期間も努力を継続していこうと決意致しました。

(機関科 木村真紘)

PCG職員と交流する実習生
PCG職員と交流する実習生

シンガポール寄港の最終日7月5日に海上保安庁からシンガポールに出向して勤務している2名(海賊情報センター・日本海難防止協会)の方から講話を聞く機会がありました。海賊情報センターでは海賊発生情報の共有や定期レポートの作成、加盟国間における国際会議の実施等外国の特殊な業務に関する話をしていただきました。マラッカ・シンガポール海峡は海賊がいるという特殊性があります。実際にこじまがシンガポールに向け航行中に海賊事案があった旨の情報を受けたことを思い出し、危険な海域であることを再認識しました。また、日本海難防止協会シンガポール事務所ではマラッカ・シンガポール海峡における航行安全のための支援策の検討や国際会議への参加、ミクロネシア3国への海上保安能力の支援など幅広い業務を行っているという講話をいただきました。

これら2つの講話から他国と連携することの大切さ、私たちが行う業務が日本のみならず世界のあらゆる国の安全に関わる重大な業務であることを認識することができました。

私たちは現場赴任まであと5ヶ月ほどしかありません。残りの短い期間で様々な知識と技術を習得し、現場で即戦力となれるよう努力していきたいです。

(航海科 松田伸介)

業務講話を聞く実習生
業務講話を聞く実習生

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