第68期 第18号 実習生企画による火災船対応想定訓練

2022年7月24日

日時

 令和4年7月24日(日)

場所  呉
天候  ー

私たちは、7月24日に、実習生企画による火災船対応想定訓練を実施しました。本訓練は68期実習生の練習船こじまにおける最後の訓練となることから、訓練内容の企画立案から、訓練の進行、実施に至るまで全て実習生で行いました。具体的な訓練内容は、訓練計画の企画、訓練進行を担当する企画班の実習生のみが知っている状態である、いわゆるブラインド状態で実施され、フェリーから救助要請を受けたという想定の下で行われました。企画班による工夫を凝らした想定内容により、防水や防火訓練等、実習を通して経験した全ての要素が含まれる訓練となりました。これまでの実習の集大成として、今まで培った技術、知識を十分に活用し、訓練に臨みました。

実習生のコメント

私は総指揮付として本訓練に参加しました。遠洋航海の締めくくりとなる本訓練は、火災船への対応という想定であったため、要救助者は離れた場所にある相手船の中にいて、これまでの訓練より作業員の活動範囲も広くなりました。また相手船の状況や乗組員についての情報等もすぐに得ることができないため、通信、マイクでの呼びかけ、直接話を聞くなど、様々な手段を用いる必要がありました。これにより、正しい情報を得ることや、指揮命令系統を大切にしながら総指揮の意図通りに作業員に伝えること、別の場所で活動する作業員や要救助者の安全管理をすることの難しさを実感しました。私たちは現場に赴任すればまず一つの班の班長になりますが、今回の訓練の経験を活かし、全体の動きや優先順位、求められることを理解して、適切な対応ができるよう努めたいと思います。

(航海科 神井実結)

搭載艇でフェリー(想定)に接近する様子
搭載艇でフェリー(想定)に接近する様子

本訓練には要救助者の対応を担う救護班として参加しました。前回の訓練での反省を活かすべく、班長を中心に打ち合わせをし、区画や人員などいくつかの項目について事前に取り決め、現場対応に臨みました。例えば、要救助者の対応場所は指揮所と別の区画を使用する、搬送する者と要救助者の容体を記録する者を分ける、使用する資機材はリストアップし、どこにどんな資機材が持ち運ばれているか管理する、などです。

当日は現場で消火活動等を行う防火班が他船にAEDを持参して乗り込む場面があり、その旨を記録していたため、班長以下全員が残っている資機材を随時把握し、以降の対応に備えることができました。

資器材をそろえることはもちろんのことですが、どこになにがあるのかを把握することも活動する上では重要であると感じました。今回の経験を記憶しておき、切迫した場面でも冷静に状況把握ができるよう心がけます。

(航海科 園田莉子)

フェリー(想定)に移乗する実習生
フェリー(想定)に移乗する実習生

今回の訓練を通して感じたことが2点あります。1点目は実習生が行う最後の訓練ということで全員から個々の持ち場への責任感が強く感じられたということです。想定が伝えられてからの初動から、要救助者対応まで訓練全体を通して現場のことを想像した立ち振る舞いを意識しているところから、各々がリーダーとしての責任感が強く芽生え、今回の訓練ではそれらが顕著に見られました。

2点目は現場赴任への焦りを実習生全体から感じたことです。現場へ出る楽しみもある反面、責任を負う立場になるという焦りが同時に感じられました。想定訓練を通して思うように出来なかったところが各実習生の中にあり、現場まで残りわずかな時間で疑問や不安を解消していかなければなりません。現時点で不安は確かにありますが、残りの乗船実習期間で可能な限り不安や疑問を解消して胸を張って現場へ出られるよう努力していきます。

(機関科 関根渉平)

乗組員から情報収集を行う様子
乗組員から情報収集を行う様子

私は企画班として本訓練に参加しました。今回は想定の企画から進行まで実習生に任せていただきました。事前にこの状況ならこの対処が必要、おそらく実習生はこのような行動をとるだろうと、大まかな訓練の流れを考え、フローチャートを作成していました。しかし、実際の訓練はフローチャートと同じように進んだわけではなく、刻々と変化する状況に対し、的確なタイミングで想定を付与することは難しく、起案する側の厳しさを感じました。

実習生の視野の広がりや、打つ手の幅広さを知り、企画班が圧倒される場面も多々ありました。遠洋航海序盤の訓練に比べ、発生事案への対応の早さ、適切さなどから、実習生の成長を感じました。現場に出てからは私たち一人一人が訓練を起案し、指揮を執る立場になります。個人の技術や習熟度に応じた適切な指示を出せるよう、努力したいと思います。

(機関科 萬玉礼香)

資機材準備を行う実習生
資機材準備を行う実習生

PAGE TOP