第68期 第11号 応急訓練

2022年5月26日

日時

 令和4年5月26日(木)

場所  太平洋上
天候  ー

練習船こじまは最初の寄港地であるサンフランシスコ港を後にし、次の寄港地であるホノルルに向けて出港しました。

実習生は船内で発生する可能性のある電源喪失に対処するための応急訓練を実施しました。船を運航するためには様々な機器を動かすための電力が必要となりますが、万が一発電機が故障した場合、船内の電力が失われエンジンや舵など航海上必要不可欠な装置が使用不可能な状態となり、大変危険な状況となります。応急訓練とはそのような状況下になった場合に航海科、機関科、通信科の各科が所掌している航海上必要不可欠な機器の応急的な操作や、復旧方法等を訓練するものです。本訓練では、このような非常時に冷静に対応するための知識や判断力の涵養を図りました。

実習生のコメント

私は今回、航海科応急班班長として活動しました。船は舵を使用して針路を変更する仕組みとなっており、舵は通常油圧の力で動かしています。船内電源を喪失した状況下では油圧ポンプが運転できないため、応急対応として人力で舵を操作できる仕組みとなっていますが、人力で舵を動かすには相当な体力が必要です。また、舵の制御を行う舵機室は船の後部に位置しており船の周囲が見えないため、船橋と連絡を密にとり、迅速に安全な方向へ船の針路を変更することが重要になってきます。本訓練では、応急班班長として多くの作業員を指揮し安全に作業させる事の難しさや人力で大きな舵を動かすことの大変さを実感することができました。本訓練で得た知識を非常時にも発揮できるように今後も努力していきます。

(航海科 髙橋 優太)

人力操舵の様子
人力操舵の様子

今回私は機関科補機係班長として訓練を行いました。補機係の役割は故障した発電機を早急に起動し、船内電源を確保することが大きな仕事です。しかし、故障原因特定に時間を要し、結果船内電源を確保するまでに時間がかかってしまいました。訓練は周りに船舶がいない状態で行われましたが、船の交通量が多い海域で船内電源が喪失してしまった場合には、1秒でも早く船内電源を確保し、他船との衝突を避けなければなりません。そのような重大な任務を担っていることを認識させられました。現場で対応できる知識を残りの実習で学んでいきます。

(機関科 小枝 功汰)

機関制御室にて作業内容を指示する様子
機関制御室にて作業内容を指示する様子

本訓練で私は、船を動かすための動力源であるエンジンの復旧作業に当たりました。エンジンを起動するためには、まず発電機が復旧していることが必要になりますが、発電機の復旧を待つ間にエンジンの復旧作業も進めなければいけません。船内電源を喪失し、真っ暗になった機関室の中で作業を行う事は初めての経験であり戸惑うこともありましたが、現場に出ればそのような状況下でも指揮者として迅速にエンジンを復旧し、航海科乗組員とも連携を密にして自船を安全な状態にすることが必要となります。今回の訓練を現場でも活かせるように今後も多くの知識を習得していこうと思います。

(機関科 泉 達也)

主機関を復旧する様子
主機関を復旧する様子

通信科応急訓練は、主任通信士である私が上司となる通信長や部下となる通信士補と共に連携して船内電源喪失という非常時に対応するという想定で行われました。通常は無線の音でにぎやかな通信室ですが、電源喪失と同時に無線機器は眠りにつき、閑散としていました。船内電源が喪失してしまった場合、通信科は通信機器を復旧し、限られた通信手段を駆使して付近船舶・陸上機関との通信や情報収集等を行います。私のやるべきことは冷静かつ沈着にそれらの作業を分担し、通信士補に対し的確に指示を出し、情報共有を行う事です。私は訓練途中に自分のやるべきことで手一杯になり、通信士補には目もくれませんでした。主任通信士として本当にこれで良いのかと不安が残りました。今回は訓練でしたが、船内電源の喪失が実際に起こった場合は各科即座に対応が求められます。しっかりと今回の訓練の反省を行い、今後の糧にします。

(通信科 飯干 風生)

情報収集を行っている様子
情報収集を行っている様子

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