第68期 第9号 USCG合同訓練

2022年5月20日

日時

 令和4年5月20日(金)

場所  サンフランシスコ沖
天候  ー

私たちは米国沿岸警備隊(USCG)との合同捜索救助訓練に参加しました。本訓練は今年5月にUSCGと海上保安庁の間で協力覚書付属書が交わされた後の両機関による初の合同訓練であり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米海上保安機関の共同の取組である”SAPPHIRE(サファイア)”「法の支配の取組における誠実と仁愛に基づいた平和と繁栄のための強固な連携」によるものでした。訓練は、サンフランシスコ沖で発生した船舶乗組員の海中転落事案に対し、付近航行中のこじまが捜索救助に協力するという想定で実施され、USCG所属のヘリコプターからの誘導を受けたこじまが要救助者を発見・救助し、その後同ヘリコプターからこじまにUSCG潜水士を降下させ、要救助者をこじま船上から吊り上げるというものでした。実習生も要救助者の捜索、こじまに搭載されている小型艇の降下作業、USCG巡視船艇や航空機との通信などを行いました。日米の合同訓練に専攻科の実習生が参加するのは初めてであり、海上保安庁の一職員として他機関との訓練に参加できたことは貴重な経験となりました。

実習生のコメント

私は今回、USCGとの通信を担当しました。私は英会話が好きなのですが、無線では表情を読み取ったり、ジェスチャーを使ったりすることができません。英語力そのもので伝えるという無線は、想像以上に難しいもので、相手が何を伝えたいのか分からなかったり、話したことを何度も聞き返されたりしてしまいました。ますます重要性が増している国際業務では、英語を用いて自分の意思を正確に表現しなければなりません。自分の英語力の至らなさを痛感するとともに、もっと勉強するぞ、と自分の心に火をつけてくれた訓練となりました。

(通信科 小林大悟)

米国巡視船艇と通信する実習生
米国巡視船艇と通信する実習生

今回、USCGのヘリコプターの接近にあたり、万が一の事故に備えて、甲板上では消火ホースを用意しなければなりません。ホースを構えて待機していたとき、放水の試験で水を被ってずぶ濡れになってしまいましたが、そんなことが全く気にならないほど緊張感のある訓練でした。ヘリコプターから潜水士が降下してくると、ヘリコプターはこじまとの距離を一定に保ちつつ飛行を続けます。万が一に備えて注視するのが自身の役割のひとつでしたが、その飛行技術に感心して、一層ヘリコプターから目が離せませんでした。ヘリコプターが無事離脱すると、肩の荷が下りたような気分になりました。一生に何度とない貴重な経験になったと思います。

(機関科 八巻大智)

USCGヘリから降下する潜水士
USCGヘリから降下する潜水士

私は今回のUSCG合同訓練において支援班として搭載艇の揚降を行いました。支援班の役割は、救助に行くための艇を降ろすことや消火活動が必要な場合に消火班の支援を行うことです。普段の訓練とは異なり、実際に救助者を想定したものでいつも以上に迅速さや安全管理が必要となり、緊張感のある訓練でした。USCGとの合同訓練はなかなか経験できるものではなく、日本では見ることのない装備や、ヘリコプターの操縦、船艇の操船技術に感銘を受け、USCGへの憧れを抱きました。この良い経験を今後に生かしていけるよう日々努力していきたいと思いました。

(航海科 潮平厳)

要救助者の捜索を行う実習生
要救助者の捜索を行う実習生

私はこのUSCG合同訓練に消火栓班として参加しました。消火栓班は、本船に接近するヘリコプターの万が一の事故に備えいつでも放水し消火を行えるよう準備します。ヘリコプターが本船に接近すると消火栓班に緊張が走りましたが、USCGのレスキューダイバーのヘリコプターからの降下はそのような緊張を払拭するくらいスムーズなものでした。初めて海外の組織との合同訓練を経験し、改めて自分が所属する組織の大きさや影響力を感じました。この経験をただの思い出にすることなく、今後の訓練に活かしていきたいと思います。

(航海科 北島完哉)

USCG巡視艇に帽を振る実習生
USCG巡視艇に帽を振る実習生

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