第68期 第2号 投揚錨訓練

2022年1月17日

日時

 令和4年1月8日(土)~17日(月)

場所  阿多田島沖
天候  晴れ、曇り、雨 気温 5.0℃

115メートルという大きな船体を、自分の意思で操船し、自身が設定した地点に錨を投入し、続いて錨を揚収し本船を航行させる、これが投揚錨訓練です。

この訓練ではどのようなコースで錨地に向かっていくか、そのコース上を航行すると横に見える物標がどのように方位変化していくのか等を事前に確認しておくことで、レーダーを使用することなく錨地までの距離を算出します。実習生は操船者としていつ速力を落としていくか、いつ後進をかけ始めるか、風向を考えどの向きに船首を向けて錨を投入するべきかなど様々なことを考慮します。

また前部甲板では船橋の操船者の指示に従い、錨の揚げ降ろしを行います。実習生は作業指揮者として作業を行う実習生の指揮を執りつつ作業工程を確実に進めるのはもちろんのこと、危険を含む作業をしっかりと理解し、安全にかつ効率的に作業を進めます。

この訓練により、これまで以上に操船技術の向上、指揮者としての能力の向上を図ることができました。

投揚錨訓練に参加した実習生のコメント

私は操船指揮として本訓練に参加しました。自分で錨地を決定し風や潮流、周囲の海域について調べて計画を立て、長さが100メートルを超える大型船を操船して実際に投錨するという初めての経験をしました。船の速さが落ちにくいこと、風による影響が大きいこと、錨を海面に投入することで船の動きに影響が出ることなど計画通りにいかないこともあり、操船がいかに困難であるかを実感しました。また、実際に錨を扱うのは甲板の作業員であるため、情報を共有して意思疎通を図り、連携を取ることがとても大切であると感じました。操船や指揮は難しく訓練の中で思い通りにいかないこともありますが、自分の経験はもちろん同期の経験も互いに自分のものにして、1年後の現場に生かせるよう今後の実習に励みたいです。

(航海科 神井 実結)

船の動きを確認しながら指揮を執る様子
船の動きを確認しながら指揮を執る様子

私は操船指揮を行いました。刻一刻と変わるその時々の気象や潮流を見て錨地に向かって操船していきました。錨地に向かっている最中、帽子が飛ばされそうになるほど風が強く吹き、船の針路を定めることに苦戦して自分が思っている操船ができませんでした。100メートルを超える船を停船させる操船をしたのは今回が初めてで、小型船のように微調整を行うことは難しいということが分かりました。結果は錨地から100メートル離れた位置に錨を入れる結果となりました。今回の訓練で学んだことを生かし、失敗にめげることなく今後の実習に取り組んでいきたいと思います。

(航海科 髙橋 優太)

目標の方位を測定する様子
目標の方位を測定する様子

前部作業の指揮においては、操船指揮の意図した場所に錨を入れることができるように迅速に作業を指揮しなければなりません。さらに、錨という2トン以上の重量物を取り扱う危険な作業に伴い作業員の安全を確保しながら作業を実施しなければなりません。

今回の投揚錨訓練では、正確かつ安全な指揮に加えて、問題発生に対する船橋との意思疎通やトラブルシューティングの経験も積むことができました。しかしながら、知識不足や想定外の出来事の対応への焦りから起こるミスが多くありました。次の機会では今回の経験を活かして、さらに入念な準備をしたうえで臨みたいと思います。

(航海科 橋本 和樹)

前部甲板で作業指揮を執る様子(※	指揮者は号笛を吹鳴する必要があるため、一時的にマスクを外しています。)
前部甲板で作業指揮を執る様子(※ 指揮者は号笛を吹鳴する必要があるため、一時的にマスクを外しています。)

私は、前部作業の指揮及び操船指揮を行いました。前部作業の指揮では、主に作業員の安全を図りながら船橋からの指示を遂行することに専念します。特に重量物を扱うため、各作業員に私の指示を徹底することはもちろん、それぞれの作業が適正に行われているか都度確認することが特に重要だと感じました。今回は船橋からの指示を遂行するだけで精一杯でしたが、ご指導くださった教官方の視野の広さを肌で感じ、作業員の安全を確保するための着眼点を学ぶことができました。

操船指揮では強風が連吹する中、状況に合わせ直前に投錨の計画を変更し錨を投入しました。計画そのものが、環境で大きく左右されながらも船橋の要員に新たな計画を浸透させながら投錨を行いました。操船自体も風に流されるなか、他船を避けながら予定錨地に向かっていく必要があり、緊張が絶えませんでしたが無事予定地に投錨することができました。

大型の船舶が環境によって、全く思い通りにならないことを体感することができた経験を、今後に生かしていきたいと思います。

(航海科 武田 和紀)

前部甲板から船橋へ報告する様子(※ 指揮者は号笛を吹鳴する必要があるため、一時的にマスクを外しています。)
前部甲板から船橋へ報告する様子(※ 指揮者は号笛を吹鳴する必要があるため、一時的にマスクを外しています。)

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