第69期 第4号 三都巡り(名古屋~神戸~呉)

2023年2月3日

日時

 令和5年1月30日(月)~2月3日(金)

場所

 伊勢湾、阪神港

天候  ー

厳しい寒さが続く中、練習船こじまは本科69期4学年航海科による東京、名古屋、神戸の3つの都市に寄港する乗船実習(通称:三都巡り)を継続しています。実習では、今年4月に控える専攻科の遠洋航海実習へ向けて最後の国内航海実習ということもあり、大学校で学んだことを基に、主任航海士として必要な知識と技術の習得に励んでおり、実習生にとっては重要な航海実習になります。今回の「こじまだより」では、三都巡りの後半、名古屋から神戸、そして呉帰港までに実施した商船見学、航行した航路、業務講和について紹介します。

商船見学に参加した実習生のコメント

人を運ぶ旅客船や物を運ぶ貨物船をはじめとする商行為を目的として運航される船を「商船」と言います。今回の名古屋寄港時に私たちは「自動車運搬船」と呼ばれる商船を見学させて頂きました。航海実習中に様々な種類の船を見かけることはありましたが、巡視船と異なる船の内部を実際に見たことはないため学びや発見が多く、非常に良い機会でした。船橋が船の側面より少しはみ出していることや、入港時に使用する航海支援用タブレットがあるなど、練習船こじまと構造が異なる箇所が多く、私たちが当たり前と思っていることが実はそうではないということに気付きました。また、乗組員の方から直接お話を聞くことができ、海で働く人としての熱意を強く感じました。約1年後、私たちが現場へ配属された際も様々な種類の船の方と話す機会があるため、巡視船以外の船の事についてもより一層勉強するとともに、誰にも負けない熱意を持って海で働きたいと思いました。

(航海科 加藤 啓太)

商船乗組員に質問する実習生
商船乗組員に質問する実習生

伊良湖水道航路の航海当直を担当した実習生のコメント

伊良湖水道航路に入域した際、私は無線通信による位置通報を担当しました。

そもそも位置通報は、港や狭水道など船舶が輻輳する海域を安全に通航するために、航行船舶に義務付けられているものです。自船の現在地や目的地等を航路管制を担う海上交通センターに伝えるとともに、本船の航行に関係する他船の情報提供を受けます。

今回は通報先が伊勢湾海上交通センターであったため日本語での通信でしたが、普段の航海当直では海上交通センターではなく距離の近い他の船舶と直接連絡を取ることがほとんどであり、通信相手が日本船舶とは限らず、必ずしも日本語で通信できるわけではありません。今後、どのような状況においても円滑にコミュニケーションを取ることができるように、どのように話せば相手に伝わりやすいかを常に考えるとともに英語の勉強にも励んでいく所存です。

(航海科 小山 将汰)

VHFを用いて航路入域前に位置通報を実施する実習生
VHFを用いて航路入域前に位置通報を実施する実習生

阪神港神戸区入港の前部(甲板)作業を担当した実習生のコメント

今回の阪神港神戸区入港に際し、私は普段係留している基地以外の港へ入港することの難しさを感じました。

他の港に入港する際は、岸壁に船の左右どちら舷(側)を着けるのかによって係留索の出し方が異なります。係留索とは、陸地に船を留めるために船から繰り出すロープのことです。呉の基地では必ず船体左舷側を岸壁に着けますが、基地以外の港では右舷側を着けることも少なくないため、係留索を適切に配置し、正しい流れになっているかを確認する必要があります。さらに係留索を掛ける岸壁のビットの位置も港によって異なります。ビットとは、船から出た係留索を掛ける岸壁の金属製の柱です。港によってビットの前後間隔や位置が異なるため、指揮者は停泊中の潮汐や風などを予測したうえで、どのビットにどの係留索を掛け、どのくらい張力をかけるかを考える必要があります。

このように基地以外の港に入港する際は、普段と異なる作業に注意を払うことが重要です。現場で指揮を執る際に様々なことに注意を払いながら、どのような港でも安全に着岸できるよう、日々必要な勉強に励んで参ります。

(航海科 東海 日和子)

係留索の流れを確認する実習生
係留索の流れを確認する実習生

業務講和を聴講した実習生のコメント

私たちは、神戸停泊中に第五管区海上保安本部次長の講和を受けました。私は大学校での座学や乗船実習で学んだことを活かし、現場での実践を積み重ねていくことが重要であると再認識しました。

特に次長からの「他省庁での勤務経験により海上保安庁を客観的に見ることができ、当庁の強みと弱みを知ることが出来た。」という話しが印象に残っています。実際に他省庁の職員と共に仕事をしなければ、このようなことは知る事が出来ません。そのような経験を多くされている次長の講和では、大学校の座学では学べない貴重な機会になりました。

私たちは現場に赴任すると「主任航海士」に任命されます。責任のある立場を自覚し、部下と上司の架け橋になりたいと思います。そのためにも、仕事や人に対して常に誠意を持って良好な人間関係を築き、円滑な業務体制の形成に取り組みます。

(航海科 稲富 大祐)

第五管区海上保安本部次長に質問する実習生
第五管区海上保安本部次長に質問する実習生

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