第69期 第8号 搭載艇揚降訓練、応急訓練

2023年5月19日

日時

 令和5年4月30日(日)~5月5日(金)

場所

 太平洋上

天候  ー

呉を出港し、間もなく最初の寄港地サンフランシスコに到着します。この航海中は、各科の実習だけでなく現場でも実際に行う様々な訓練を行っています。特に「搭載艇揚降操船訓練」ではこじまに搭載されている小型の艇を海面に降ろし、操船を行い、将来現場で海難が起きた際に安全且つ迅速に対応できるように訓練を行いました。

また、「応急訓練」では発電機が故障し船内の電源が無くなり、自力での航行が出来なくなった状況を想定し、各科で非常時における機器の操作、復旧の訓練を行いました。

搭載艇揚降操船訓練に参加した実習生のコメント

今回の訓練は海が荒れており非常に波が高い状態で実施しました。波が高いと船は大きく揺れるため、自分の身が高所から落下しないように常に近くの物に掴まりながらの訓練でした。安全を確保することは海上保安大学校における寮生活で日頃から教えられた基本的な事ですが、本日の訓練ではこのような基本的な事の重要さを痛感した訓練となりました。自分の命も守るために基本を疎かにせず、荒天の現場で1人でも多くの命を救うことができる技術をこれからの訓練でも習得したいと思います。

(航海科 廣澤 拓磨)

搭載艇揚降訓練の様子
搭載艇揚降訓練の様子

荒れた海での操船訓練となったことで、舵効き(舵の効き具合)の悪さや高波からくる動揺により、思うような操船ができず、自身の技術の未熟さを痛感しました。しかし、このような海象の中で訓練を行ったことで、いつも以上に緊張感が増し、本当の海難現場を肌で感じる事が出来たと思います。荒れた海においても波の高さや速度を見て、波を予測することで艇が揺れないように操船することが大切です。

今回の訓練で改めて技術を身に付ける難しさ、荒れた海での基本操船の重要性を知ることが出来ました。この先、現場で本当の海難現場へ出動した際、要救助者を助けるためにも基本を大切にこれからの訓練に臨んでいきます。

(機関科 小池 雄大)

搭載艇の操船訓練を行う様子
搭載艇の操船訓練を行う様子

応急訓練に参加した実習生のコメント

 船の電源を喪失した際、操船を行う「船橋」という場所で舵を動かすことができなくなるため、舵を人力で動かし船を安全な海域まで移動させるという役割があります。3、4学年の乗船実習では経験していない訓練であり、その分内容も難しく、学んできたことを全て発揮しなければ対応はできません。訓練前には仲間と何度も話し合いを行い、万全の態勢で臨みました。実際に訓練が始まると、自船の状況把握だけでなく、周辺船舶に対する呼びかけ、陸上への連絡、安全海域への移動、故障原因の究明そして復旧等、やらなければならないことは非常に多く、戸惑ってしまうことが多々ありました。

現場でこのような事態が起きれば、今、自分の周りに当たり前のようにいる同期に相談することはできず、リーダーとして自分自身の力で対処しなければなりません。残り約3ヶ月の航海実習で更に多くのことを学び、自信に繋げていきます。

(航海科 瀬戸口 凜音)

人力で舵を動かす航海科実習生
人力で舵を動かす航海科実習生

私は船内が停電した状態から故障した発電機をいち早く復旧し、船内の電気を確保する係として訓練を行いました。いつもと違う真っ暗な状況の中で、発電機を復旧するための原因究明を行わなければなりませんでしたが、同期と力を合わせて試行錯誤し、今までの乗船実習や座学で学んだ知識を活用することで原因が判明し、なんとか発電機を復旧することができました。早く船内電源を確保しなければならない中でも、冷静さを失ってはならないというような状況を経験出来ました。

現場に出ると、このような特殊な状況でも機関科のリーダーとして冷静に対応しなければなりません。主任機関士として現場に出て活躍するためにも、今回の訓練を活かし、これからも積極的に実習に取り組んでいきます。

(機関科 橋口 泰祉)

故障した発電機の原因究明を行う機関科実習生
故障した発電機の原因究明を行う機関科実習生

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