第69期 第5号 ドック実習

2023年3月8日

日時

 令和5年2月8日(水)~3月8日(水)

場所

 向島ドック(広島県尾道市)

天候  ー

2月に入り、練習船こじまは定期修理のため向島ドックに入渠しました。ドックは、航海中には点検できない船底やプロペラ・舵等をはじめ、船舶の性能維持に関する整備を行う場所であり、航海科は錆おとしやペンキ塗りなどの船体整備、機関科は各機器の開放整備や各部品の交換作業、通信科はアンテナ等の通信機器の整備などの実習に加え、整備状況を確認する監督作業も行います。実習生は、ドック実習を通じ、現場赴任後に主任として求められる知識・技術・監督能力の習得に努めています。今回のこじまだよりでは、ドック実習に臨んでいる実習生の様子を紹介します。

航海科実習生のコメント1

航海科実習生は、船体塗装作業や船の検査、プロペラの動作確認といった船体整備に参加しています。また、修理や検査などが仕様書のとおりに行われているかを確かめる「監督業務」も行います。ドックでは、普段見ることのできない船底やタンクの内側、さらにはロープを巻き取る装置や錨鎖を格納している倉庫の内部に立入ることができるため、設備の構造をより詳しく知る事が出来ます。私たちは現場に配属されると、ドックの技士や検査官等と話し合いながら工事内容を考えることとなります。このドック実習で、乗組員の方々がどのような事を考えて動いているのかをしっかり観察し、現場での整備業務に向けて引き続き有意義な実習にしていきます。

(航海科 山本 航世)

乾ドックへ入渠中のこじま
乾ドックへ入渠中のこじま

航海科実習生のコメント2

こじまがドックに入る際には、タグボートという小型の船でこじまの船体を押し引きし、こじまの船体を少しずつ動かしながら乾ドックと呼ばれる箱のようなスペースに入れていきます。大型タンカー、自動車運搬船などの一般商船に出入港時にタグボートを用いるのが一般的ですが、巡視船では出入港時に使う機会はほとんどありません。タグボートを用いて船舶を動かす際はロープのつなぎ方を適宜変えながら押し引きします。今回、タグボートとこじま間のロープのつなぎ方や、タグボートを使用した際の操船方法を実際に見ることができ、貴重な経験となりました。

また、ドックでは船体の修理や整備の作業監督を行います。重機を用いて重量物を動かすほか、有機溶剤を用いての塗装作業や甲板上の甲板機器等の溶接作業がおこなわれているため、船内外の至る所に様々な危険が潜んでいます。私たちは来年には現場に配属されますが、着任してすぐに主任航海士としてドック担当になることもあります。ドック実習を経てどのような作業に危険が潜んでいるか、どのように作業を行えばより安全なのかを考えていき、安全管理の意識を向上させると共に今後の業務に役立つよう知識を増やしていく所存です。

(航海科 山根 宥人)

クレーンの作動確認を行っている航海科実習生
クレーンの作動確認を行っている航海科実習生

機関科実習生のコメント1

ドック実習では、ドックの技士による配管などの修理の見学に加え、乗組員指導の下、主機、発電機、ポンプ類を含む多くの機器の分解整備を行うことで、機関に対する知見をより深めることができました。

また、監督業務では、1日の作業始めに行われるドックの機関部担当者とこじま乗組員でのミーティングにおいて、作業内容や今後の予定などをお互いに確認し合っているために円滑に作業が行われているのだと感じ、ミーティングの重要性を理解しました。

機関科として見聞を深めることができるこの機会を無駄にしないためにも、あらゆるところに興味を持ち、自ら調べ、作業にも積極的に参加しています。今後も引き続き、安全管理を怠らず実習に挑みます。

(機関科 山下 功晴)

バルブ交換をする機関科実習生
バルブ交換をする機関科実習生

機関科実習生のコメント2

「百聞は一見に如かず」と言われるとおり、ドック実習は機器の構造、整備方法を学ぶ貴重な機会です。機器の分解・整備が主であるドック実習は機関科として様々な経験値を積むだけではなく、大学校の座学で得た知識を実機と結び付けて理解を深めていくものであり、私たちの機械への興味をさらに掻き立ててくれます。機関科は薄暗い機関室で油まみれになりながら作業するというイメージがあると思いますが、実際には、そのような場面だけでなく、機関科の魅力としては紙の情報と現実の物が繋がる喜びを感じられるところにあります。

現在は実習生という立場ですが、翌年には主任として配属先でのドック整備を担当します。そのような責任ある立場に就く自覚を持ち、現場を見据えて有意義な実習となるよう、日々目的をもって取り組んでいます。

(機関科 木之下 拓海)

タンク内を清掃している機関科実習生
タンク内を清掃している機関科実習生

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