第68期 第17号 溺者救助部署訓練・救命講習

2022年7月13日

日時

 令和4年7月11日(月)、13日(水)

場所  日本近海
天候  ー

帰国が目前に近づき、日本沿岸の町明かりをなぞって航行する日々がようやく戻ってきました。浮足立つのも束の間、私たちは遠洋航海の最後に2つの訓練を行いました。

1つ目は、本船から転落した者を救助する溺者救助部署訓練です。これまで培ってきた救助技術の集大成であると同時に、救助した者を陸上に引き渡すためヘリコプターと連携するというこれまでにはなかった想定を付加した訓練でした。ヘリコプターとの連携は海上保安官にとって必須の能力で、救助活動と並行して迅速な受け入れ態勢を整えるなど複雑で応用力の試される訓練でした。

2つ目は、本船からの避難を要する際に必要な避難手法を実践する救命講習です。高所から飛び込み、救命艇(本船から避難をするために降ろす小型船)まで泳いだ後、本船を救助船と想定してはしごを登って戻るという訓練です。暑さが厳しくなり、海に入りたい思いが募っていた実習生は飛び込みこそ威勢がよかったですが、いざ戻ってくるころには疲労困憊で要救助者の直面する体力的な厳しさの一端を理解する良い機会となりました。

実習生のコメント

溺者救助部署訓練で、私は企画班という訓練を立案する立場で訓練に携わりました。訓練は、溺者と見立てたブイを揚収する形式で進められたことに加え、付与した想定に対して実習生が想定外の対応をとることもあり、リアリティの出し方について難しい点がありましたが、試行錯誤を重ね、よい訓練にする過程がとても勉強になりました。

予想外の出来事に戸惑いましたが、臨機応変に新たな想定を与え、訓練を導くことができました。訓練立案は今後仕事で必ず行う事なので、本訓練の経験を活かしたいと思います。

(航海科 上田 太一)

溺者に見立てたブイを搭載艇に引き上げる様子
溺者に見立てたブイを搭載艇に引き上げる様子

溺者救助部署訓練では、第一救助班長として警救艇(本船に搭載された業務用の小型船)を操船して要救助者を揚収する指揮を執りました。警救艇の班長は、私たちが現場赴任をしてからすぐに任される可能性が高い業務であるため、とてもよい経験になりました。今回の訓練では、エンジントラブルにより警救艇が動けないという状況下で、要救助者を気に掛けながら他の船に引き継ぐという想定を与えられ、班長としてどう安全に帰船するかを考えることがとても大切だと感じました。今の状況を把握するだけではなく、班員を導く立場として、さらに一歩先の未来を考えていけるように、今後の実習も励みたいと思います。

(航海科 鈴木亜実)

救助した溺者を救護所へ搬送する様子
救助した溺者を救護所へ搬送する様子

帰港前の最後の訓練として救命講習が行われました。同訓練では高所からの安全な飛び込み方や、水中での体温低下を防ぐ姿勢などを学び、実際に行うことで、着水時の衝撃、潮の流れを肌で感じ、冷静に行動し生存するための知識技能を得ることができました。現場赴任後には一般の方々にも教える立場となります。今回得た経験を活かして、万が一、退船するとなった時の注意事項を分かりやすく伝えられるよう頑張ります。

(機関科 女屋 樹生)

甲板から飛び降りる実習生
甲板から飛び降りる実習生

救命講習では実際に救命胴衣を着て海に飛び込むことで、救命胴衣の性能の良さを改めて実感しました。救命胴衣は自分の体に合うように適切に調整することで救命胴衣本来の力を発揮します。大学校1学年の際から救命胴衣等の容儀については厳しく指導されておりその意味を今回の講習を通して再認識できました。私たちは現場に出て、若手乗組員や一般の方にも救命胴衣の着用方法、大切さを伝えなければなりません。今回の講習で学んだことを糧に現場で活躍したいと思います。

(航海科 中西 奎仁)

救命艇に乗船する実習生
救命艇に乗船する実習生

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