第67期 第3号 4学年航海実習(呉~名古屋)

2021年1月22日

日時  令和3年1月22日(金曜日)~2月1日(月曜日)
場所  東京湾
天候  晴れ 気温 8.0℃

例年、練習船こじまは、呉を出港後、東京、名古屋、神戸という日本の主要な3港を巡る航海実習を実施しています。しかしながら、本年度は新型コロナウイルスの影響により入港を取りやめ、各地の沖合に仮泊することとなり、休養日に上陸し寄港地で見聞を広げることはできませんでした。

一方で、これらの港に向かう際に通航する海上交通安全法の航路は、幅が狭いことに加え、船舶が非常に輻輳するため、操船方法を学ぶ絶好の機会となりました。

東京湾内で操船に当たった実習生のコメント

私は東京湾内の船舶交通を整流する浦賀水道航路・中ノ瀬航路を通航し、浦安沖錨地に仮泊するまでの操船指揮を行いました。浦賀水道航路及び中ノ瀬航路は海上交通安全法に規定される航路で、通航時には法律上様々な決まり事があります。私たちは既に大学校で同法については学んでおり、しっかりと復習して臨めば安全に航行できるものだと思っていました。しかし、実際に航路を航行してみると、思っていたよりも狭く感じられ、また、想像以上に多数の船舶が行き交う海域となっており、臨機応変な操船を迫られる結果となりました。乗船実習の大きな目的の一つとして「経験」を得ることが挙げられると思います。日頃から座学で得られる知識と、乗船実習でしか得られない経験とを結びつけ、残りの実習も実りあるものにできるよう、努力して参ります。

(航海科 坂井 志保)

浦賀水道航路通過時多くの実習生が見学をしている様子
浦賀水道航路通過時多くの実習生が見学をしている様子

東京湾内で仮泊ワッチを行った実習生のコメント

浦賀水道航路は非常に船舶交通が輻輳しており、大型船が通ることのできる航路は狭いうえに湾曲していることから、日本屈指の操船の難しさだといわれています。その浦賀水道航路を抜けた東京湾で、東京ディズニーリゾートを約1.5マイル先に見える沖合に仮泊しました。夕方に仮泊する際は周りに多くの船舶が錨泊していましたが、朝になるとその船舶は少なくなっており、東京湾の海運の様子を垣間見ることができました。私たちは、新型コロナウイルスの影響で東京に上陸することができませんでしたが、ワッチ中に自船の状況、周囲の船舶の動静に注視しつつ、時々見えるディズニーランドの火山の噴火、双眼鏡越しに望む東京湾の夜景等に喜びを感じ、残り半分となった航海に向けて英気を養いました。

(航海科 杉山 航平)

仮泊作業を行う実習生の様子
仮泊作業を行う実習生の様子

搭載艇揚降操船訓練に参加した実習生のコメント

私は搭載艇揚降の指揮者と、搭載艇操船の乗艇員として訓練を行いました。搭載艇揚降訓練では、事案発生時に警備救難艇を現場に派遣することを想定しているため、迅速な揚降が求められます。一方で、指揮者としては安全の徹底が求められます。その安全を徹底するために、作業手順を理解するのは当然であるとともに、使用する機材の仕組みを理解することも大切であると感じました。本訓練を通じて、実際に指揮者として求められるレベルは非常に高いことを痛感しました。本訓練で得た経験から、次回訓練に向け、さらに準備をしたうえで望む所存です。

(航海科 石井 稜)

操船訓練を行う実習生の様子
操船訓練を行う実習生の様子

伊良湖水道で操船に当たった実習生のコメント

私は愛知県の伊勢湾への入口となっている伊良湖水道航路通航時のワッチに入りました。私の役割は海図に自船の位置をこまめに入れ、船舶が行き会う狭い航路の中を安全に航行できるように操船指揮のサポートを行うことでした。私以外にも、本船と同じく伊良湖水道を航行しようとする外国船舶と英語で通信を行う者もおり、ワッチ内で操船指揮をサポートしながら安全運航に努めました。また、伊良湖水道航路はなかなか通る機会がないと事前に聞いていたことから、ワッチ以外の実習生も全員が船橋に上がり、通航の様子を見学していました。そこには、全員で実りある実習にしようという前向きな雰囲気が感じられました。実際に航路を操船する機会は少ないため、日々の準備を妥協せず、一回の経験から更に深く学び、操船技術を向上させていきます。

(航海科 中村 恭子)

国際VHFを使用して本船の操船意図を他船に伝える実習生の様子
国際VHFを使用して本船の操船意図を他船に伝える実習生の様子

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