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令和2年度遠洋航海を終えて~66年経ても伝統は不変~


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海上保安大学校本科第66期生が乗船しての練習船「こじま」による今年度の遠洋航海は、8月18日の下船式を以て終わりました。
本遠洋航海は、新型コロナウイルスの世界的感染の影響を受け波瀾の幕開けで、当初予定されていた世界一周航海に代え、先ずは無菌化確認を目的に訓練を交えながら日本沿岸の航海で始まりました。引き続き呉・保安大で上陸なしのまま燃料等を補給後、太平洋に乗り出し東進、日付変更線までの往復航海が行われました。復路では、何れも無寄港ながら南鳥島や沖ノ鳥島、父島など、我が国の海洋権益保護の観点から重要な島々を巡りましたが、輝いた目で島々を見つめる実習生の様子が特に印象的でした。またここまでの航海実習は、上陸を制限されたり無寄港のままトータル40日間にも及び、実習生にとって肉体的・精神的にかなりハードなものになりました。
その後停泊実習に引き続き、本遠洋航海初の寄港地となった高知での巡視船「とさ」による展示訓練の見学、石垣への往路で「海上保安政策プログラム」学生との交流プログラム、父島での貴重稀な要所の見学など、例年の遠洋航海にも引けを取らない充実した内容になりました。
また例年の遠洋航海では、シンガポールから日本への帰路中、教官は見守りながらの実習生による「1人ワッチ」がありますが、今回は、高知への航海から実習生による積極的で主体性のあるワッチ姿勢が随所に見られ、諸訓練時においても同様でした。
なお今回の日付変更線までの往復航海は、保大本科1期生による昭和29年のミッドウエイ海域往復航海と略ルートが重なりますが、船体の大きささや諸性能など現在と比べ当時の航海や船内生活のご苦労を偲ぶに単なる比較は失礼ながら、1期生の方々にとって孫の代の後輩が略同じ航海ルートを辿るとは当時誰もが夢にも思われなかったでしょう。また至極当然ですが、当時から数え今回ちょうど66年が経過、今回の実習生は本科第66期生と、話題としては覚え易い数字の様な気がします。あと遠洋航海中における保安大専攻科生の伝統として、如何なる状況下でも「懸命に挑む姿勢」は、66期生においても引き続き不変の様です。
最後になりますが、無事本遠洋航海を終えるに当たり、奥島長官、鹿庭大学校長からのあたたかい激励を始め、本庁・海保大にあっては実習生へ出来る限りの経験や機会を与えるべく調整に尽力して頂き、六本部・呉保安部にあっては船体修繕や福利厚生等の支援を頂き、高知保安部・石垣保安部・小笠原保安署にあっては急な寄港にも関わらず調整に尽力して頂きました。さらには我らが赤ひげ先生こと、向井勝紀医務官にあっては船内での感染症対策で皆が不安に陥る中、多くの相談や貴重な助言を得ることが出来ました。各位におかれましては、この紙面をお借りし記して深く感謝申し上げます。

練習船こじま業務管理官 川下 弘

 

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