学校案内

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大学校長挨拶

 

 日本は海洋国家として、海から様々な恩恵を受け、海とともに発展を遂げてきました。海上保安庁が発足した当時は、大戦により国土は著しく荒廃し、周辺海域には多数の機雷、沈船が残りました。また、航路標識の多くが倒壊し、海上交通の安全の基礎は全く失われ、密輸、密航等の海上犯罪も横行し、正に、「暗黒の海」と化していました。
 このような中、日本の海に明かりを灯すがごとく、昭和23年5月、「海上の安全」、「治安の確保」に関する行政事務を一体的に実施する警察機関として、海上保安庁が創設されました。海上保安庁に関わる最近の日本周辺海域をめぐる情勢を見れば、例えば、尖閣周辺海域における中国公船による度重なる領海侵入、大和堆周辺海域における外国漁船による違法操業や北朝鮮からのものと思慮される木造船の漂流・漂着、国際テロ情勢の深刻化や自然災害の激甚化など、一層、厳しさを増しています。

 このような現況に至るなか、海上保安大学校は昭和26年4月に設置され、同年6月、東京都越中島の仮校舎で開校、本科第一期生が入学しました。

 その後、同27年4月には、現在の広島県呉市に移転、海上保安庁の幹部となる職員を養成するため、「人格の陶冶とリーダーシップの涵養」、「高い教養と見識の修得」、「強靭な気力・体力の育成」を教育方針として、一般大学と多くの共通点を持ちながら、全寮制を基盤とした独自の教育環境のもと、広範囲にわたる海上保安業務を全うできる人材を育成し、約2,700名の卒業生を輩出してきました。

 さらに、アジア諸国の海上保安機関の相互理解の醸成と交流の促進を通じて、海洋の安全確保に向けた各国の連携協力、そして、「力ではなく、法とルールが支配する海洋秩序」の強化の重要性について認識の共有を図るため、政策研究大学院大学、JICA、日本財団と連携・協働し、平成27年10月、海上保安政策に関する修士レベルの教育を行う「海上保安政策プログラム」を開講、海上保安分野の国際ネットワークの確立を強力に推進しています。

 昨今では、「組織にとって最も重要なのは人材である」と言われますが、職員一人一人は、海上保安庁にとって貴重な人材であることは間違いなく、正に、本校に入学してくる学生・研修生一人一人も海上保安庁を支え、継承していく換えがたい人材であり、海上保安業務に関して無限の可能性を秘めている貴重な人材でもあると思います。

 加えて、学生・研修生が本校で過ごす期間は、それぞれにとって貴重な経験、財産となり、今後の大きな転機となる可能性がある大切な期間でもあると思います。

 今後も、海上保安大学校は、学生・研修生が更なる成長、発展を遂げられるよう、また、複雑・多様化、国際化、かつ、高度情報化が進展していく海上保安を取り巻く環境に的確に対応できる人材を育成・輩出し、海上保安庁に対する内外からの期待に応える礎となるべく、教職員一同、気持ちも新たに教育方針を抱き、一丸となり教育訓練に尽力・傾注していきます。

  平成31年4月

        

海上保安大学校長                     

下野 浩司