学校案内

ここから本文

大学校長挨拶

 

 我が国にとって、…時代が移り変わっても、海に囲まれ、海によって生き、海の安全を自らの安全と考える日本の地理的必然性は変わりようがない、また、恵みをもたらす場であり、海上交通、海上交易のルートであり、脅威の対象であるという海洋の果たす役割においても変わりようがない、…それは島国としての宿命である。
 全球的に俯瞰するとき、国際海上交通の促進、海洋の平和的利用、海洋資源の衡平かつ効果的な利用、海洋生物資源の保存並びに海洋環境の研究、保護及び保全を促進することは、人類全体の利益及びニーズを考慮した国際経済秩序に貢献するものである。また、「社会あるところ、法あり(ubi societas, ibi jus)」というローマ法諺から長い歴史の中で「法の支配(rule of law)」という基本的価値は醸成され、人類共通の普遍的価値に昇華されつつある。

 

 海、海洋というダイナミックな舞台において、本年創設70周年を迎える海上保安庁は、海洋の国際的課題が発生する中で紛争を回避するための「緩衝材」の機能をも果たす海上法執行機関として、世界各国の海上保安機関などと連携・協力を図りつつ、国民の安全・安心及び発展に寄与するとともに、我が国及びその周辺海域に限らず「法の支配に基づく平和で安定した海」を実現すべく不断の努力を積み重ねてきました。
 海上保安庁の根幹であり伝統である精神こそが、先の大戦で「暗黒の海」と化した日本の海に明かりを灯すが如く、昭和23年5月に紺地にコンパスを白く染め抜いた庁旗が高々と掲げられ、大久保武雄初代長官が職員を前に訓示された「海上保安庁の精神は正義と仁愛である」にあります。

 海上保安大学校は、海上保安庁を担う幹部養成機関として昭和26年に設置され、四年制の本科においては「全寮制による全人教育」を踏襲し、幹部職員としての優れた人格、リーダーシップ、高い教養・見識、強靭な体力・気力を養うべく、一般大学と教育内容に共通点を持ちつつも、全寮制による集団生活、練習船による実習、各種の訓練を融合したユニークなカリキュラムとなっています。
 また、海上保安機関の設立が相次ぐアジア諸国の要請を受けて、海上保安機関の相互理解の深化、交流を通じた連携協力の強化、そして「力ではなく、法とルールが支配する海洋秩序」の重要性を共有するため、平成27年10月に政策研究大学院大学等との連携による修士課程として「海上保安政策課程」を開講し、アジア地域の海上保安分野における高度人材育成においても重要な役割を担っています。
 さらに、幹部登用研修、業務に必要な外国語研修、潜水士の養成研修など、学際領域の強みと施設の有用性を活かし、様々な階層、職域における専門的な教育訓練が行われています。

 海洋秩序の構築及び海洋の平和利用は人類全体の発展に大きく影響するところであり、様々な国際的課題が発生する海洋における現況に鑑みれば、海上保安庁に対する国の内外からの期待はますます高まることを強く認識し、引き続き海上保安大学校の教職員が一体となって、充実した教育・研究・訓練施設を活用しつつ、明日の海上保安を担い正義仁愛を体現できる人材を輩出して参ります。

  平成30年4月

        

海上保安大学校長                     

德永 重典